「一体どうなるのかとの不安、この1年で払拭できたと思う」──NEC+レノボのPC事業合弁、好調をアピール:大和開発・米沢生産ThinkPadも試験的に開始
NECとレノボのPC事業合弁会社、NEC レノボ・ジャパングループ発足より1年、国内シェア向上、年間出荷台数・売上高もそれぞれ前年比伸長など、好調さをアピール。NEC米沢事業場でのThinkPad製造開始など、それぞれのメリットを生かした合弁事業展開の方向性を説明した。
NEC×レノボ発足1年 シナジー効果で好調アピール
NEC レノボ・ジャパングループ、およびNECパーソナルコンピュータ、レノボ・ジャパンは7月4日、発足1年が経過したNECおよび中レノボグループと国内PC事業合弁会社の成果、そして今後の方向性を示す記者会見を行った。
「このジョイントベンチャーは、1+1=2以上の効果があった。まれに見る成功」──登壇したNECレノボ・ジャパングループのロードリック・ラピン会長、およびNECパーソナルコンピュータの高塚栄社長、レノボ・ジャパンの渡辺朱美社長はこの1年を振り返り、そろって好調をアピールした。
NEC レノボ・ジャパングループは、目標値とする「発足3年以内に国内30%のシェア獲得」に対し、グループ合計四半期国内PCシェアは1年で26.4%に上昇、年間出荷台数および売上高もそれぞれ前年比106%、同111%に伸長した。レノボグループにおいても2011年過去最高売上げ・シェアを実現し、ワールドワイドシェア2位に浮上するなど、このジョイントベンチャーがグループ全体の業績にも貢献したという。
同合弁会社は、NECと中レノボグループのPC事業を移管し、企業・個人向けPC事業の強化を図るべく発足。100%子会社としてNECブランドのPCを扱う国内シェアトップのNECパーソナルコンピュータと、ThinkPadなど国内レノボブランドのPCを扱うレノボ・ジャパンの2社を傘下に置く。NECは、開発連携による製品力の強化や世界シェア2位のレノボグループのスケールメリットを活用した価格競争力の強化、ビジネスPCの海外展開拡大といった効果を、レノボはNECの持つ日本市場のPCトップシェアやブランド、生産・開発・販売面、きめ細かな国内向けサポート体制、ネットワークサービス・機器の技術といったメリットを得、両社の強みを生かしたシナジー効果や商品力のさらなる強化、顧客満足度の強化を図る狙いで展開する。2011年7月1日に発足した。
「日本の大和研究所で誕生したThinkPadは、2012年10月で誕生20周年を迎える。ThinkPadは特に法人市場にフォーカスしてビジネスを展開し、高い信頼を得てきた。一方、Ideaシリーズなど国内個人向けはそれに対しスケールは小さい。個人向けPCに強いNECとの協業により、この層にも付加価値の高い製品を投入できるようになる。足りないところを補完しあえるまさに理想的な組み合わせ。また、2011年10月にレノボ個人向けコールセンターをNECパーソナルコンピュータへ移管(委託)したが、顧客満足度がこれまでの80ポイント前後から85ポイントほどまで高まるなど、開始数カ月で効果が出た。外資系PCベンダーではナンバーワンの顧客満足度が得られるよう推進する」(レノボ・ジャパンの渡辺社長)
同日、レノボ製PCのユーザーサポートは今後ThinkPadを含むThinkシリーズ/法人向け製品もNECパーソナルコンピュータが請け負うことが告知された。NECパーソナルコンピュータが培った国内ユーザーに向けたきめ細かいサポート体制、これまで対象でなかった土・日・祝日の電話受付体制とともに、さらなる顧客満足度の向上を目指す。2012年7月30日より始動する。
加えて、レノボの液晶一体型PC「Idea Centre」+NEC製PCに採用するPCテレビ機能「SmartVision」を融合したモデルの投入、さらに2012年秋より大和研究所で開発したThinkPadシリーズの一部をNECのPC製造拠点であるNEC米沢事業場で製造する試験的取り組みも実施する。ThinkシリーズはCTO含め主に企業需要に特化した仕様で製造されるシリーズだが、国内生産とすることで特に国内ユーザーに向けて「短納期の取り組み」と「サポート体制を高める」のが狙いだ。「NEC米沢事業場でのThinkPad製造は、日本市場向けのみの展開と考えている。まずはユーザーの声を聞きながら2012年秋より試験的に導入しつつ、本格始動はそれを全方位的に検討した上で決定したい」(ラピン会長)
NEC側は、部材調達力と技術力で特にシナジー効果を享受する。7月3日に発表した、世界最軽量Ultrabook「LaVie Z」は、(開発時期の都合で深く協同作業は行っていないというが)「従来は売れ筋商品の開発を行ってきた。日本市場ではシェアナンバーワンではあるが、技術者としては世界最高のもの、オンリーワンのもの──つまり“徹底してとがったもの”をつくらせてくれという声は高かった。これを実現できたのはレノボとのジョイントベンチャーのおかげと思う。LaVie Zのできは、技術者の意地、開発力、そしてNECおよびNEC レノボ・ジャパングループの底力であると思ってほしい」(NECパーソナルコンピュータの高塚社長)
また、今後はレノボの技術を取り入れつつ日本ユーザーに最適化した融合商品の投入、PC単体ではなくスマートデバイスやネットワークサービスなどとも連携した「PC+」の時代に備えたサポート体制の構築・改変も想定する。
「現NEC製PCのテーマである安心・簡単・快適の“AKK”は、ユーザーニーズやトレンドの進化に応じてPCを中核にスマートデバイスとの連携も想定した“AKK+”のテーマに進化させる。連携ネットワークサービスについては、ユーザーの好みのサービスを選択できるようオープンな姿勢も貫きたい。ともあれ1年前、NECのPCは一体どうなってしまうのかと心配・不安の声はあったが、これまでに増して元気にやっている(笑)。その心配はもう払拭できたのではないかと思う」(NECパーソナルコンピュータの高塚社長)
「レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータは、特にシナジー効果を追求している。そうすることで生まれた効果を日本で再投資することで、魅力的な製品の開発と顧客満足度のさらなる向上を図れる。また、開発部門においても両社で人材交流を行い、お互いの文化の違いへの理解を深めつつ、学んだことを元の会社へ持ち帰ってさらによいもの・ことにつなげられる。魅力的な製品の提供と顧客満足度の向上の2本の柱は、こういったことの積み重ねで劇的によいものになると信じている。もちろんこれで終わりではない。3年/国内シェア30%の目標に向け、日本市場に特化・最適化した形でビジネスを展開する」(ラピン会長)
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