NPUではなくeGPU側で「Windows Copilot Runtime」を処理 NVIDIAが定義する“RTX AI PC” 2024年後半にプレビュー版が登場:COMPUTEX TAIPEI 2024
“AI PC”のSoCに搭載されたNPUで本来行われる想定の処理をdGPU側で処理できるようになる新たな仕組みが米Microsoftと協力して開発されている。
米NVIDIAは6月2日(台湾時間)、「COMPUTEX TAIPEI 2024」(6月4~7日、台湾・台北市)に先駆けて基調講演を開催した。その中で、同社のdGPU(外部GPU)を利用できるノートPCが期間中にメーカー各社から続々と発表される予定であることをアピールしたが、同社はそれらのモデルを“RTX AI PC”と定義している。
その背景には、SoCに搭載されたNPUで本来行われる想定の処理をdGPU側で処理できるようになる新たな仕組みが米Microsoftと協力して開発されていることが挙げられる。
具体的には、AIプロセッサ(NPU)の利用をソフトウェア開発者がAPIとして呼び出せる仕組みをまとめた「Windows Copilot Runtime」において、小規模言語モデル(SLM)や、外部の情報を用いてSLMを補助する「Retrieval-Augmented Generation」(RAG)の処理を、NPUの代わりにNVIDIAのGPUに搭載されたAI処理向けコア「Tensor Core」で行えるようにするものだ。
同機能に対応したソフトウェアの場合、AI処理を行う際にSoCのNPUではなくGPU側のTensor Coreを優先して使うようになるはずだ。
米IntelのCore Ultraシリーズや、米QualcommのSnapdragon Xシリーズなどに搭載されたNPUよりもGPUは高い処理性能が見込めることから、eGPUを搭載したノートPCは、さまざまな面で高速化が期待できる。SoC側のNPUのリソースを他の処理に回せることにもなる。
NVIDIAは同機能のプレビュー版を2024年後半に公開する予定だという。
NVIDIAはこうした処理ができるdGPU搭載PCを独自に「RTX AI PC」と定義しており、NPU単体で処理するよりも強力なパワーを発揮できるとして“AI PC”市場にアピールしていきたい考えだ。
関連記事
「Blackwell」の次は「Rubin」へ フアンCEOが次世代GPUアーキテクチャのロードマップを紹介
COMPUTEX TAIPEI 2024にあわせて米NVIDIAが基調講演を実施した。次世代GPUアーキテクチャ「Blackwell」の大規模版「Blackwell Ultra」や、さらに次世代となる「Rubin」「Rubin Ultra」を含む将来のロードマップについて明らかにした。50TOPSの新型NPUを搭載! AMDが新型モバイルAPU「Ryzen AI 300シリーズ」を発表 Copilot+ PCを含む搭載モデルは7月から順次登場
AMDが、NPUの性能を向上したモバイルモバイル向けAPU「Ryzen AI 300シリーズ」をリリースした。NPUのピーク性能は50TOPSで、Microsoftの定める「新しいAI PC」の要件も満たしている。【訂正】AMDがZen 5アーキテクチャ採用でPコア押し! デスクトップ向け「Ryzen 9000シリーズ」を発表 Ryzen 5000XTシリーズの新モデルと共に2024年7月発売予定
AMDが、新型デスクトップCPU「Ryzen 9000シリーズ」を発表した。Zen 5アーキテクチャを初めて採用する製品の1つで、まずはパフォーマンス重視の「X」プロセッサから登場する。Zen 3アーキテクチャの「Ryzen 5000XTシリーズ」にも新モデルが投入される。AMDのGPUアクセラレーター「Instinct」のロードマップを公表 「Insinct MI350X」は2025年内に登場
AMDが、AI処理やハイパフォーマンスコンピューティング向けに発売しているGPU「AMD Instinct」のロードマップを発表した。2024年後半には現行アーキテクチャにおける改良版をリリースし、2025年には新アーキテクチャ、2026年にはさらなる新アーキテクチャの製品を投入する予定だという。AMDがデータセンター向けCPU「第5世代EPYC」の登場を予告 Zen 5アーキテクチャ採用で最大128コア 2024年後半に発売予定
AMDが、Zen 5アーキテクチャを採用する「第5世代EPYC」を2024年後半に投入することを明らかにした。最大で192コア384スレッド構成で、128コア構成モデルは、Intelの現行Xeonで最高スペックの「Xeon Platinum 8592+」比で高いパフォーマンスを発揮できるという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.